© たかやまそら

FIX窓

建物の東西にトリプルガラスを入れる考え方。

値段と重さが凄いぞトリプルガラス

性能が良いというのはもうわかりきっているのでデメリットから書いてしまう。 まず、値段が複層ガラスの約2倍する。さらに寿命が短い(といわれる)ため、 交換費用まで考えると複層ガラスの2倍では効かない(だろうと予想される)。 そして重たい。開閉する窓に採用すると複層の約1.5倍は重たいわけだ。 ただでさえ重量級のヘーベシーベにトリプルはあり得ないのかな、と断念。

メリットは言うまでもない断熱性。複層ガラスと比べて結露の問題はかなり払拭される。

また、特性の1つに日射取得率が低いという点が挙げられる。 窓に日射取得を求めた場合あまりよろしくないが、 東西の窓に日射遮蔽型の窓を入れようという場合は効果的ともいえよう。

床下の気流を考慮する

基礎断熱はシロアリのいない北海道から発達した工法だとどこかで読んだ気がするが、 最近ではアリ対策のスタイロフォームが(ちょっと割高だが)作られている為、 今後は本州以南でも普及するのではないだろうか?だって、すごくいいもん。

我が家は天井裏の暖気を能動輸送して床下に回し、 窓辺のグリルから吹き上げさせる方法を取り入れた。 そのため基礎のレイアウトを熟慮することになったのだが 今回は結論だけいうと、床下では北から南へ空気を送る設計にした。 結果として、家の南側の東西辺には基本的にグリルを設置しないことにした。

写真を見てもらったほうが早いだろう。

これは南西角の和室で、左側が南にあたる。窓辺に沿って一列のグリルが見える。 奥は西で、こちらにはグリルが無い。

前回の話でも触れたが、我が家は空気を動かすことで結露を防ぐ作戦でデザインしている為、 冬季は次の写真のようにロールスクリーンを床ぎりぎりまで降ろすことになる。

この写真は南東角のDKダイニングキッチンで、右側が南にあたる。 赤枠はキャットウォークで床ではない。ここにある高窓については別のページで紹介する。

今見てほしいのは右側だ。グリルが見えるであろう。 この位置までロールスクリーンを降ろすことで、床下からの暖気が窓の気塊に対流を促す考えである。 具体的なデータは別のページで紹介するとして、ともかくこれでうまくいっている。 折角なので命名しておこう。「たかやま方式」。

問題は東の窓だ。写真だと奥。写っていないがグリルが無い。「たかやま方式」が使えない。 これは床下の気流を考慮した結果の制限でもある。

東西にトリプルガラス

そこで出した結論。東西にトリプルガラスを入れようや!

防災上の観点から、各部屋に脱出口は必要だが、それは南側のドレーキップで良い (というかむしろ、そのために人間が通れるサイズを選んだ)。 だから東西の窓はFIX窓で問題ない。これなら重量が複層の1.5倍でも問題ない。

更に東西の窓は日射遮蔽型を入れようという考えゆえに、 トリプルガラスの日射取得率の低さはむしろメリットとなる。

と、なるとトリプルガラスゆえに結露は考慮しなくてよいため、 ロールスクリーンは窓辺から距離をおかなくてもよい、となる。 むしろ空気の断熱層を増すことで更なる断熱性能を高めるという方向で考えたい。 よって窓枠ぎりぎりにロールスクリーンを設置した。 巻き方向を裏表逆に取り付けるという徹底ぶりで。

むろん、露点温度まで下がらないという前提での発想だ。 結露しないといってもやはり温度は下がるわけで、冷えた空気を 動かさずに 留めることで屋内を冷やさないという考え方ともいえる。

感想

凄く良い。 FIX窓はサッシがシンプルなため、景色を切り取るという窓の特性が遺憾なく発揮されている。

そのシンプルさはロールスクリーンを降ろした時も発揮されている。 朝日や夜の月が低い角度で照らした時、降ろしたロールスクリーンに庭木が影絵となって 実に風情がある。窓はサッシ寸法で W1690 H1170 だが、ガラス寸法でも W1630 H1090 とあり 75インチの大画面テレビと思えば、感動の月影である。

なお、断熱性というのは「寒くない」「結露しない」というアンチ・ネガティブ評価のため 意識にのぼりにくい。意識にのぼらないということは効果はばっちりなんだろう。

© たかやまそら